コイン探求の旅、今回ご紹介するコインは『プドゥコーッタイ藩王国 1Amman kasu銅貨』です。
発行国 | プドゥコーッタイ藩王国(インド) |
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材質 | カッパー |
品位 | ? |
発行年 | 1889~1934年 |
発行枚数 | 5,000,000 |
鑑定会社 | 未鑑定 |
グレード | F~XF相当 |
サイズ |
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藩王国については、以下にまとめましたので参照して下さい。
Amman kasuの読み方が分かりませんでした。アマーンカスなんでしょうかね?kasuはキャッシュを意味するものと思われます。
このコインは、表面には姿勢をとって座る女神ブリハダンバール(プドゥコーッタイを守護する女神のこと?)が描かれています。裏面にはテルグ文字で勝利を意味する碑文が刻まれています。
プドゥコーッタイ藩王国はインド南部に位置しています。
このコインは、プドゥコーッタイ藩王国のマルタンダ・バイラヴァ・トンダイマンの治世において発行されたコインです。マルタンダ・バイラヴァ・トンダイマンの在位期間は1886~1928年の32年間でした。
Martanda Bhairava Tondaiman - Wikipedia
マルタンダ・バイラヴァ・トンダイマンは、1886年に先代の国王であったラマチャンドラ・トンダイマンが死去したことに伴い国王の座に就きましたが、当時まだ11歳だったため、ディワン(行政機関のこと)であるA・セシャイヤ・サーストリが率いる摂政が一時的に国を統治しました。1894年11月に20歳となり、マドラス州知事のウェンロック卿から全権を移譲されました。
マルタンダ・バイラヴァ・トンダイマンは、1903年にデリーで開催されたダルパールや、1911年にウェストミンスター寺院で行われたジョージ5世の戴冠式に出席しました。また、1913年の新年叙勲者リストにおいてイギリス領インド帝国勲章騎士大団長に叙せられました。
Order of the Indian Empire - Wikipedia
マルタンダは、1915年3月にオーストラリアに渡り、メルボルンのホテル・マジェスティック・マンションで、オーストラリアの社交界で活躍するモリー・フィンクに出会い、1915年8月10日にメルボルンのRegsitrar's Officeで結婚しました 。
しかし、インドのイギリス当局は二人の結婚に反対し、彼女をマルタンダの妻として認めず王妃としての特権を与えることを拒否しました。さらに、息子のシドニーに正当な相続権を認めず、彼女を毒殺しようとさえしました。1915年10月、マルタンダはモリーとともにインドに戻りましたが、わずか5か月間滞在しただけで再びオーストラリアに戻りました。1919年からロンドンに移り、最終的にはカンヌに別荘「ラ・フェヴリット」を購入しそこに移住しました。1921年、マルタンダはプドゥコーッタイの王位継承権を正式に放棄し、兄のラグナータ・パッラヴァラヤールを次の統治者に指名しました。
マルタンダ・バイラヴァ・トンダイマンは、1928年5月28日に52歳で亡くなりました。モリーは彼の遺灰をインドに空輸し埋葬することを望みましたが、イギリス当局がそれを拒否したため、やむなくロンドンのゴールダーズ・グリーン霊廟の納骨堂に安置することとなりました。
Martanda Bhairava Tondaiman - Wikipedia
モリーのその後についても、少し書いておきます。
マルタンダの死後、モリーは財産が減り始めたためやむを得ずラ・フェヴリットを売却し、ロンドンのメイフェアに家を購入して息子のシドニーと暮らしました。政治家で後に国際連盟の議長を務めたアーガー・ハーン3世は、マルタンダの死後すぐに彼女にプロポーズしましたが、彼女はそれを拒絶しました。
第2次大戦中も彼女の困窮状態は続き、一時息子と共にアメリカに渡りニューヨークの衣料品店で違法に働きました。息子のシドニーは、1945年に宝石の窃盗容疑で投獄され、それ以降彼女とは疎遠となりました。シドニーは、彼女に先立ってこの世を去りました(没年不明)。
晩年のモリーはフランスで暮らしました。常に飄々とした態度を崩さず、大酒を飲むようになりました。1967年に腸癌を発症し、同年11月22日にカンヌで73年の生涯を閉じました。彼女の遺灰は、ロンドンのゴールダーズ・グリーン霊廟に、マルタンダの遺灰とともに安置されました。
このコインの鑑定枚数(Regular Strike)は、PCGSでは14枚ありTop PopはMS65RB、MS65RDとなります。NGCでは6枚あり、Top PopはSP64RDとなります。このコインは私が所有しているようなF~XF相当のコインであれば、フリマサイトで簡単に見つけることができますので、鑑定済みの状態が良いコインでない限り、希少性はほとんど無いと思います。
今回の旅は、ここまでにしたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇♂️
探求の旅は、まだまだ続きます🐪🌙