コイン探求の旅、今回ご紹介するコインは『イギリス 2シリング銀貨』です。
発行国 | イギリス |
---|---|
材質 | シルバー |
品位 | 0.5 |
発行年 | 1942年 |
発行枚数 | 39,895,200枚 |
鑑定会社 | 未鑑定 |
グレード | XF~AU相当 |
サイズ |
このコインは、表面にはジョージ6世の肖像が中央に描かれ、周囲にラテン語で「神の恩寵ある全ブリタニアの王ジョージ6世」と刻まれています。裏面にはアザミとシャムロックに挟まれた王冠を被ったチューダー・ローズが中央に描かれ、周囲にラテン語で「信仰の守護者にしてインドの皇帝」と刻まれています。
ジョージ6世は、言わずと知れたイギリス国王です。在位は1936年12月11日~1952年2月6日のおよそ15年間でした。
また彼は、最後のインド皇帝であり、最初のコモンウェルス首長となった人物です。コモンウェルスとは、イギリスがかつて植民地として支配していた国を指します。以前はイギリス連邦と呼ばれていました。
Member states of the Commonwealth of Nations - Wikipedia
ジョージ6世は、ジョージ5世の長兄であるエドワード8世が1936年12月11日に退位したことに伴い、王位に就きました。エドワード8世は、アメリカ人女性のウォリス・シンプソンとの結婚を望んでいましたが、彼女には離婚歴があり2番目の夫とまだ婚姻関係にあったため、議会はそれを認めず激しく対立しました。エドワード8世は、結婚か退位かの2択を迫られ、最終的に退位することを選びました。
エドワード8世とウォリス・シンプソン - Wikipedia
ジョージ6世の治世は、まさに困難の連続でした。
1939年9月1日にナチス・ドイツがポーランドに侵攻し第2次世界大戦が勃発、イギリスは9月3日にドイツに宣戦布告しました。ジョージ6世はそれに合わせて全国民にラジオ放送を行いました。ジョージ6世は吃音症で、それまで行ってきた演説は悲惨な結果に終わることが多かったのですが、長年の治療の効果によりその9分間にわたって行われたスピーチは大変素晴らしく、国民を勇気づけるものでした。この辺りのお話は、2010年に公開された映画「英国王のスピーチ」の中で描かれています。未見の方は是非!
連合国として参戦したイギリスは、およそ5年にわたって枢軸国と戦い続けました。ジョージ6世はチャーチル首相と連携し、イギリス国民の士気を支え続けました。また、海外に遠征している部隊を慰問するため、自らフランス、北アフリカ、マルタ等の地を訪れました。こういった行動により、国民からは高い敬意を受けました。
英陸軍元帥バーナード・モントゴメリーと(1944年10月12日) - Wikipedia
ちなみに、開戦直前の1939年5月には夫妻でカナダを訪れており、それを記念して銀貨が発行されています。そちらは別の機会に解説したいと思います。
第二次世界大戦は連合国の勝利に終わりましたが、イギリス本土は戦時中にドイツの空襲を受け、アジア周辺の植民地は日本軍に蹂躙されるなどしたため、その権威は大きく失墜していました。終戦に伴い、イギリスが支配していたインド等の植民地は’次々に独立していきました。また、戦後はアメリカとソ連の2大超大国の冷戦という構図となり、かつて世界に覇を唱えた大英帝国の面影は徐々に薄れていきました。
ジョージ6世は、戦時中の心労とヘビースモーカーであったことが影響し、1949年頃から次第に体調を崩し、動脈閉塞や肺の悪性腫瘍などさまざまな病気を患いながらも1952年まで政務を続けました。しかし1952年2月6日、就寝中の冠動脈血栓症により、サンドリンガム・ハウスのベッドで死亡した状態で発見されました。56歳という若さでした。ジョージ6世は、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂にある歴代王族の墓所に葬られました。後に国王ジョージ6世記念礼拝堂が建設され、1969年3月26日に改葬されました。王位は、エリザベス女王(エリザベス2世)が継ぎました。
King George VI Memorial Chapel - Wikipedia
このコイン(1942年発行)の鑑定枚数は、PCGSでは見当たりませんでした。English ReverseとScottish Reverseはあるんですよね・・・1枚もないなんてこと、ありえないと思うのですが(^^; 調べ方が間違っているのか・・・良く分かりませんでした。NGCでは3枚あり、Top PopはMS63となっていますが、どのタイプなのか書かれておらず、こちらも正確な情報が不明でした。Numistaによると、1942年発行が全体の38%とのことですので、このタイプのコインの中では最も希少価値が薄いという事になります。1937年発行のマットプルーフは、わずか2枚しか存在しないらしいので、かなり希少なようですね。イギリスのコインがお好きな方は、是非探してみてください。
今回の旅は、ここまでにしたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇♂️
探求の旅は、まだまだ続きます🐪🌙