コイン探求の旅 #92 『フランス領トーゴランド 2フランアルミ青銅貨』

 コイン探求の旅、今回ご紹介するコインは『フランス領トーゴランド 2フランアルミ青銅貨』です。

発行国  フランス領トーゴランド(トーゴ、ガーナ)
材質  アルミニウムブロンズ
品位  ?
発行年  1925年
発行枚数  580,154
鑑定会社  未鑑定
グレード  F~XF相当
サイズ

 このコインは、表面には中央に月桂樹の冠を被った人物の肖像(特定の人物ではないと思われます)が描かれ、その左右にフランス語で「フランス共和国」、下部に発行年である「1925」、左下に小さく「A.パテ」と刻まれています。裏面には中央に枝が描かれ、その左右に額面を示す「2フラン」、周囲にフランス語で「フランス委任統治トーゴ」と刻まれています。

 このコインの表面は、アンリ・オーギュスト・ジュール・パテによりデザインされました。

https://en.numista.com/catalogue/artist.php?id=88

 今回ご紹介のコイン以外にも、複数のコインのデザインを手掛けていますので、気になった方は下記リンク先を参照してください。

https://en.numista.com/catalogue/artist.php?id=88

 フランス領トーゴランドとは、フランスが1916年から1960年の間、西アフリカに領有していた植民地で、トーゴランドは現在のトーゴ共和国およびガーナ共和国の一部領土に該当します。

Togo français — Wikipédia

 トーゴランドは、ドイツ帝国1884年保護領を設立したのが始まりとなります。1895年時点で首都ロメの人口は、先住民2,084人、ドイツ人31人でした。1913年までに、先住民の人口は7,042人に増加、ドイツ人は316人(うち女性61人、子供14人)に達しました。第一次世界大戦直前の数年で、ロメは「西アフリカで最も美しい町」と言われるまでに成長し、アフリカ大陸に存在するドイツの2つの自立植民地のうちの1つであったため、トーゴランドは「小さいが貴重な領土」として認識されていました。

Map of Togoland in 1885 - Wikipedia

 トーゴランドに配備されたドイツ軍部隊は限定的で、ドイツ陸軍の正規軍は存在せず、ゲオルク・プファラー大尉の指揮下にある693人の警察部隊と、軍事訓練を受けた約300人の入植者から成っていました。トーゴランド植民地は、東はフランス領のダホメ、西はイギリス領のゴールド・コーストに隣接していました。

 第一次世界大戦が勃発すると、1914年8月6日にイギリス軍とフランス軍が降伏を拒否したトーゴランドへ侵攻を開始、わずか20日後の8月26日にドイツ軍は降伏しました。

British troops on parade in Togoland, 1914 - Wikipedia

 トーゴランドは、1916年12月27日にフランスとイギリスの行政区域に分割されましたが、第一次世界大戦終了後に新設されたチェコスロバキア政府は、同植民地をチェコスロバキアトーゴとして獲得する計画を考案しました。しかし、この計画は実現しませんでした。チェコの外交官ヤン・ハヴラサは、トーゴだけではなくニューギニアの植民地化に参加できるという考えも持っていました。作家であり探検家のアロイス・ムージル(『アラビアのロレンス』のモデルとなったと言われている人物です)は、ヤン・ハヴラサとともに、チェコスロバキア政府が海外政治に積極的に参加するようになった主要な推進者の1人でした。当時、トーゴが実際にチェコスロバキアの植民地になっていれば、鉄鉱石やココア、コーヒー、サトウキビ、皮革などの商品を輸入できるため、大きなメリットがあると考えていました。また、シュコダやČKDなどの大企業が植民地に工場を建設し、地元の労働力を利用できると考えていました。このアイデアの他の支持者は、チェコスロバキア人教師の助けを借りて地元住民を教育することを想定していました。

ヤン・ハヴラサ(左)、アロイス・ムージル(右)

 ヴェルサイユ条約の批准後、1922年7月20日トーゴランドは国際連盟委任統治領として正式に設立され、フランス領トーゴランドとイギリス領トーゴランドに分割されました。

フランス領トーゴランド(紫)とイギリス領トーゴランド(緑) - Wikipedia

 フランス領トーゴランドがトーゴ共和国として独立するのは、1960年4月27日になります。その辺りのお話は、また別の機会に書きたいと思います。

 

 このコインの鑑定枚数(1925年発行)は、PCGSでは6枚あり、Top PopはMS67となります。NGCでは見当たりませんでした。1924年発行の試作貨が少数存在し、かなり希少であると思われますので、気になった方は是非探してみてください。

 

 今回の旅は、ここまでにしたいと思います。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇‍♂️

 探求の旅は、まだまだ続きます🐪🌙