コイン探求の旅、今回ご紹介するコインは『モンテネグロ王国 1ペルペラ銀貨』です。
発行国 | モンテネグロ王国 |
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材質 | シルバー |
品位 | 0.835 |
発行年 | 1914年 |
発行枚数 | 500,000 |
鑑定会社 | 未鑑定 |
グレード | VF+相当 |
サイズ |
今回は、#3でご紹介した5マルク銀貨と同年代に発行されたコインを選びました。
このコインは、モンテネグロ王国のニコラ1世の時代に発行されたコインです。ニコラ1世の在位期間は、1860年8月13日から1918年11月26日のおよそ58年間でした。なお、1905年の憲法改正により、モンテネグロ公からモンテネグロ国王に昇格していますので、実際に王位にあったのはおよそ13年間となります。伯父のダニーロ1世が没した際、嫡子がいなかったため公位を継承しました。ニコラ1世がどういった人物だったかについては、残念ながら情報が無く不明ですが、モンテネグロの国民歌「Onamo, 'namo」を書いており、詩人としても有名であったようです。
モンテネグロ王国は、当時「ヨーロッパの火薬庫」と言われていたバルカン半島のほぼ中央部に位置する小国で、オスマン帝国の衰退に乗じて進出を図るオーストリア=ハンガリー帝国とロシア帝国という構図の中に置かれており、いかにして生き残っていくかという難しい選択を迫られていました。
1a 開戦前の欧州の国境 | カイゼン視点から見る第一次世界大戦
1912年には、ロシアの支援によりギリシャ、セルビア、ブルガリアと共にバルカン同盟を結成、オスマン帝国との第一次バルカン戦争が勃発しこれに勝利しました。1913年には、領土問題で決裂したブルガリアとの間で第二次バルカン戦争が勃発、モンテネグロ王国はオスマン帝国と共に反ブルガリア勢力に加担し勝利しました。この2度に渡る戦争の結果、どちらの陣営も領土的な不満を残すこととなり、やがて第一世界大戦が勃発することとなります。
第一次世界大戦において、モンテネグロ王国は連合国として参戦、中央同盟国のオーストリア=ハンガリー帝国によって占領され、ニコラ1世はフランスに亡命しました。1918年にはセルビア帝国により占領され、その後セルブ・クロアート・スロヴェーン王国(のちのユーゴスラビア王国)に吸収され、モンテネグロ王国は消滅しました。
ニコラ1世は、1921年3月1日に亡命先であるフランスのアンティーブでその生涯を閉じました。死去するまで、モンテネグロ王位を主張し続けましたが、その願いが叶うことはありませんでした。ニコラ1世夫婦の遺体は、1989年になってようやく祖国モンテネグロに移葬されました。
このコインは、表面にニコラ1世の肖像、裏面にモンテネグロ王国の国章が描かれています。ありふれた構成ですが、特に裏面の国章のデザインは素晴らしいと思います。
コインの発行枚数は50万枚と非常に多いのですが、コインショップなどではあまり見かけないような気がします。鑑定済みコインは、PCGSでは23枚、NGCでは105枚存在するようです。私が所有しているコインのように、未鑑定が多数存在しているのかもしれません。
今回の旅は、ここまでにしたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇♂️
探求の旅は、まだまだ続きます🐪🌙