コイン探求の旅、今回ご紹介するコインは『英領インド ベンガル保護領 ルピー銀貨』です。
発行国 | 英領インド ベンガル保護領 |
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材質 | シルバー |
品位 | ? |
発行年 | 1793~1818年 |
発行枚数 | ? |
鑑定会社 | PCGS |
グレード | MS63 |
サイズ |
このコインは、ムガール帝国第15代皇帝シャー・アラーム2世の時代に発行されたコインです。シャー・アラーム2世は、前回ご紹介した第5代皇帝シャー・ジャハーンから数えて10代後、およそ100年後に皇帝の座に就いた人物です。
シャー・アラーム2世は、1759年12月に父親であるアーラムギール2世が暗殺されたため、帝位を継承しました。在位期間はおよそ47年間で、歴代皇帝の中でも長期間皇帝の座にありました。シャー・アーラム2世は探究心があり、学問を好んだ人物でした。彼は詩人として「アーフターブ」のペンネームを持ち、詩集「ディーワーン・アーフターブ」を作成しています。また、シャー・アーラム2世は宮廷のペルシア語のみならず、民衆の間でも広く使われていたウルドゥー語、外国語のトルコ語やアラビア語なども熟知していた知識人でした。
シャー・アラーム2世統治下のムガール帝国は、すでに衰退期にありました。国内では有力勢力が覇権を争い、国外ではイギリスをはじめとした欧米列強による進出が盛んになりつつあり、まさに内憂外患といった状況でした。勢力回復のため、国内においては北インドでたびたび軍事行動を起こしました。また、イギリス東インド会社に対してはベンガル太守、アワド太守といった有力者と連合を組み戦いを挑みましたが、1764年に勃発したブクサールの戦いで決定的な大敗北を喫し、ベンガル地方他3州の徴税権等を認めざるを得なくなり、イギリスの植民地化が進むきっかけとなりました。
イギリス東インド会社は、その後もマイソール王国、マーラター諸侯などの有力勢力を打倒していき、ムガール帝国は次第にイギリスの保護下に置かれることとなります。
シャー・アラーム2世は、1806年11月10日に首都デリーで波乱に満ちた生涯を終えました。どのような最期だったのか分かりませんが、反乱により殺害されたわけではないようで、78歳という年齢を考えると病死(老衰)ではないかと思われます。シャー・アラーム2世には37人の息子がおり、3男のアクバル2世が帝位を継ぎました。
あまりにも波乱万丈な人生で、どう要約して書こうか非常に悩みました(^^;
この年代に発行された金貨、銀貨は、コインショップやオークションで比較的状態が良いものをよく見かけますので、希少性はさほど高くないのかもしれません。私が所有しているRY19(裏面に19の数字が確認できます)のコインは、PCGS鑑定済みでMS63以上が18枚存在し、最高鑑定品はMS64となっています。NGC最高鑑定品はMS65+、過去のオークションでは$1,500で落札されています。
私が所有しているコインは、周辺部分に赤みがかった綺麗なトーンがかかっており、とにかく見栄えが非常に素晴らしく、お気に入りの一枚となっています。
今回の旅は、ここまでにしたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇♂️
探求の旅は、まだまだ続きます🐪🌙