私がコインを収集するにあたり、特に重視するのは見た目の良さで、さらに希少性があればなお良い、といった感じで選別しているのですが、それ以外にも一応一つのテーマがあります。それは『インド藩王国』のコインです。
現在、私が所有しているコインを『コイン探求の旅』というタイトルでご紹介していますが、今後インド藩王国のコインについて書く機会がとても多くなると思います。そもそも藩王国って何?というお話から都度書いていくと非常に長くなってしまいますので、補足ページを作っておくことにしました。
藩王国(土侯国とも言います)とは、イギリスなどのヨーロッパ諸国による植民地化が進んでいた時期に、東インド会社の直轄領とならずに旧来の支配者が一定の自治権を認められた地域のことを指します。日本の江戸時代における藩とほぼ同等と考えて頂ければよいかと思います。
やや見づらいですが、上記地図のピンク色の部分はイギリスによる直接統治が行われた地域で、黄色い箇所が藩王国または保護国です。ちなみに保護国は、藩王国と違い外交、財政、軍事といった権利を持っておらず、ほとんど植民地といってもいい状態の国を指します。
藩王国は、現在のインド、パキスタン、バングラディシュ、ミャンマーに565ヵ国存在しました。主な藩王国を以下に示します(Wikipediaからの抜粋に若干加筆修正しています)。
■現・インド
- ニザーム(ハイダラーバード、ハイデラバード)藩王国
- アワド藩王国
- グワーリヤル藩王国
- インドール藩王国
- ナーグプル藩王国
- ヴァドーダラー(バロダ)藩王国
- サーターラー藩王国
- コールハプール藩王国
- タンジャーヴール藩王国
- マイソール藩王国
- ジャイプル藩王国(アンベール王国)
- ウダイプル藩王国(メーワール王国)
- ジョードプル藩王国(マールワール王国)
- ビーカーネール藩王国
- ジャイサルメール藩王国
- ブーンディー藩王国
- トラヴァンコール藩王国
- コーチン藩王国
- コダグ藩王国
- バラトプル藩王国
- クーチ・ビハール藩王国
- カッチ(カックチョー)藩王国
- ガルワール藩王国
- ジュナーガド藩王国
- プドゥコーッタイ藩王国
- サンバルプル藩王国
- ポールバンダル藩王国
- ボーパール藩王国
- バーンスワーラー藩王国
- ダール藩王国
- デーワース藩王国
- ラームプル藩王国
- ジャーンシー藩王国
- オールチャー藩王国
- バンガナパッレ藩王国
- サヴァヌール藩王国
- カルヌール藩王国
- ムドール藩王国
- カプールタラー藩王国
- パティヤーラー藩王国
- アジャイガル藩王国
- バスタル藩王国
- パタウディー藩王国
- ビルバリ藩王国
- ナワナガル藩王国
- ジャオラ藩王国
- ダティア藩王国
- ジャブア藩王国
- パンナ藩王国
- トーンク藩王国
- ラトラム藩王国
- サイラナ藩王国
- コーター藩王国
- チャンバ藩王国
- アルワル藩王国
■現・パキスタン
- バハーワルプル藩王国
- カイルプル藩王国
- カラート藩王国
- ラス・ベラ藩王国
- マクラーン藩王国
- アンブ藩王国
- チトラル藩王国
- ディール藩王国
- スワート藩王国
- フンザ藩王国
- ナガル藩王国
- バルーチスターン藩王国
- シンド藩王国
- カラン藩王国
- チョーリスターン藩王国
- シックゥ藩王国
- バハーワルプル 藩王国
- カンタラワディ藩王国
- カンチ藩王国
- ケントゥン藩王国
- 北センウィー藩王国
- シャン藩王国
- シポー藩王国
- タンペン藩王国
- モゥ藩王国
- モクマイ藩王国
- モンカゥン藩王国
- モンナイ藩王国
- モンパイ藩王国
- モンパウン藩王国
- モンパン藩王国
- モンミッ藩王国
- モンヤイ(南センウィー)藩王国
- モンルン藩王国
- モンロン藩王国
- ヤンウェ藩王国
- ロックソック藩王国
■その他
- ジャンムー・カシュミール藩王国
藩王国は、一部の国で後継者不在によりイギリスに併合されるケースがありましたが、第二次世界大戦終戦まで存続した国もありました。そういった藩王国は、終戦後の1947年にイギリス領インド帝国が解体され、インドとパキスタンの分離独立の際に消滅しました。この時、藩王国はどちらの国に帰属するのか、それとも独自の道を歩むのか、という厳しい選択を迫られました。それがきっかけとなり各地で紛争が発生し、例えばカシミール地方(旧カシミール藩王国)は現在もインド・パキスタン間の係争地域となっています。
藩王国については『印度藩王国 Classics&Academia』という専門書が出版されています。私はKindle版を購入してみました。1ページの文字数は少ないのですが、総頁数6,704頁という超大作、しかも挿絵や写真などは序盤の数ページしかありません(^^; それでも、藩王国を詳しく知るにはうってつけの書籍ではないかと思います。
ちなみに、インド映画で2022年に日本でも公開されて大ヒットした『RRR』は、イギリス領インド帝国が物語の舞台となっています。
迫力満点で非常に面白い映画です。未見の方は是非!